彩き織PLUS 郷原さん
思いが彩る世界に一つだけのもの。皆が自分らしく暮らせる地域へ(2)
-地域の方の思いから生まれるものもあるってステキ!この施設 はとぽっぽも、人の〝思い〟から生まれたと聞いています

1984年、障がいのある子のお母さんたち7人が手縫いのおもちゃを作って販売する活動からスタートしました。
わが子の働く場所をつくるため、少しずつ規模を拡大。
現在は障がいのある人たちが働く就労継続支援B型事業所として、「彩き織PLUS」「パン工房」、そして野菜を育てる「農芸自然工房」を運営。
今は28名の利用者さんが裂き織りやパン作り、野菜作りなどをしています。
活動が始まった頃に赤ちゃんだった子が大人になり、今はパン工房で働いていて、そのお母さんも縫製のセクションで活躍しているんですよ。
-少しずつみんなの〝思い〟が重なって今がある…いいなあ。地元でも徐々に浸透しているそうですね。

パンはこのお店だけでなく、市立病院や高校の売店で販売したり、移動販売車で町を回っています。
「来るのを楽しみにしていたよ!」と声をかけてくださる方が増えてきましたね。

特に有名なのは「はとぽっぽとラスクちゃん」。道の駅などでも販売しています。
季節によっては農業部門が栽培した新鮮な野菜を一緒にお店に並べることもありますよ。
-郷原さんはいつからここに?

平成18年から勤務しています。生まれも育ちも茨城県。
姉が老人ホームに就職したことをきっかけに福祉の道を志しました。
茨城県の知的障がい者の施設で働いているときに夫に出会い、一緒に夫の故郷の大田市へ。
しばらく専業主婦をするつもりでしたが、知り合いが1人も居ない状況がとても寂しく、何より福祉の仕事がしたくて…結局2ヶ月ももちませんでした(笑)
気が付いたら町内の福祉施設に「働きたいです!」と電話をかけ回っていて。
夫婦でこの施設に入職し、私は裂き織りの指導員、夫は農芸の指導員をしています。
-裂き織りの工房で、小さな布にミシンをかけている方がいました。あれはなんの作業ですか?

「福こづち」で有名な「大社木工」さんから依頼を受け、こづちを置く小さな座布団を作っています。
お土産屋さんでよく見るこづちの下に敷いてあるもの、見たことありますね。
他にも島根のさまざまな企業から作業受託を行っているんですよ。
義肢・装具などで有名な「中村ブレイス」さんのベルトのカシメ付けやタグ付けなどの作業も受けています。

-みなさん、集中して丁寧に作っていますね。地方の中小企業は設備も人員も限られているから、細かい手作業を外注できると助かるはず。こういったサポートはなくてはならないものでしょうね。産業を支えている柱!
そうあれたら良いですね。
私たちにとって作業の種類が増えるということは、仕事の選択肢が増えるということなんです。
特に利用者さんは出来る事、出来ない事が個人によってさまざまです。
無理にやらせるのではなく、楽しく学びながら習得し、従事して「やりがい」が感じられる仕事を増やすことができる。
できないことをできないなりに頑張るのも大切だけど、一人一人にフィットするものを見極めて導けば、誰もが仕事に関われて長く働ける。
それを手助けするのが職員の仕事だと思います。
-日常で食べるもの、生活の中にあるものが福祉施設で作られているって事を意外と知らない人が多いかも。ぜひ知ってもらいたい…。ここで働いている方と交流できる機会はありますか?

年に何回かお祭りやイベントを開催し、地元の人に来ていただいています。
「あの美味しいパンはここで作っているんですね」と喜んでもらっています。
パンの移動販売では、作り手も販売に関わります。
お客さんの喜ぶ姿を見るとやりがいが高まるようです。
野菜をスーパーに納品するのも作り手が同行し、お客さんに出会えると声をかけてPRすることもあります。
…といった形で交流ができていたのですが、最近はコロナ感染予防のため、なかなか地域の方と接触できず…。
落ち着いたらいろいろと再開していきたいです。
-交流することで、地元の人たちは応援する気持ちになれるでしょうね。みんながイキイキ働ける地域ってどんなところ?と考えるきっかけになるといいな。

そうですね。ここでの仕事は、一般就労を目指すためのトレーニングでもあります。
仕事をしながら生活のリズムを整え、自立し、地元で就職する人もいるんですよ。
毎月の工賃は、趣味に使ったり、親御さんに生活費として納めた残りで遊んだり、みなさんいろいろな使い方をされています。
そこに喜びややりがいがありますが、やりくりの知識も必要。貯金や計画的な使い方の勉強会もしています。
将来〝親なき後〟、地域の中でどのように自立して生活していくのか、一緒に考えていきたいです。
-SDGsは「誰一人取り残さない」を掲げています。みんなで暮らせる地域づくりも、地域全体で一緒に考えたいですよね
私たちの最終的な目標は自立ですが、それが実現したとしても、地域の方のサポートや見守りが必要です。
都会では街中にグループホームや作業所などがあって、障がいのある人たちがスーパーで買い物をしていたり、地域の中に溶け込んで暮らしているようです。
島根でも徐々にそうなって、みんなが同じ場所で暮らせたら良いなと思います。
-生活の中で、私たちにできることはありますか?

何か欲しいな…と思ったときに、選択肢の中に福祉施設で作られた商品を入れて欲しいです。
そこで好きな商品に巡り会えたら嬉しい。
また、道の駅や雑貨屋さん、カフェなどにも商品が置いてある事があると思います。
手に取った時に「誰が作ったのかな」「どこの事業所かな」とより興味を持って見ていただければと思います。
買い物の時や、図書館などの公共施設、交通機関などで、「あっ、この人困っているかも」「何か探しているのかな?」と思ったら声をかけてもらえると良いですね。
この施設の利用者を外で見かけて様子が気になった方が、「そちらの利用者さんかもしれない人が困っているようで…」と連絡してくださる方もあり、見守りの気持ちを持ってくださって助かっています。
-障がいの有無にかかわらず、人に関わるのをためらってしまう時代ですが…いつもの買い物でできるエシカル消費なら今日からもできそうです。

そうですよね。
その場で声をかけなくても、地域にグループホームや作業所などの施設があったら、「障がいのある人が近所で困っているのを見かけるけど、どのように接するべき?」と相談してみるのも良いと思います。
困っている人や障がいのある人の施設の存在を知って、接し方や地域での共生の方法など、一緒に話し合ってもらえると良いですね。
-誰もが自分以外の人に目を向けて、自然に助け合いができる地域はどんな人も過ごしやすいですよね
あたたかい気持ちで見守ってくださると嬉しいです!

■郷原さんおすすめのプチエコ■
障がいのある方が作ったものの購入は自立の支援に。イベントやお祭りなどへの参加は共生社会への一歩になります。ぜひ自分の地域でどんな取り組みがあるか知ってください。身近にある生活用品、食べ物、雑貨などを誰が作っているのかを考えてもらえたら嬉しいです。世界に一つだけの素敵な商品に巡り会えますように
*彩き織PLUSさんにおじゃまして*
取材中は皆さん作業の手を止めて挨拶してくださったり、快く作業を見せてくださったり、工程を丁寧に説明してくださってありがとうございました。仕事への前向きさと誇りを感じる出来事がたくさんありました。裂き織りのアイテムはどれもステキで目移りしてしまうし、パンもラスクもとっても美味しくて取材陣一同すっかりファンに。自分の住んでいる町の施設ではどんな取り組みがあるのか、調べてみようと思いました。
(*取材に伺ったのは、秋の光が暖かい2021年11月。感染防止対策を行い、撮影時のみマスクを外していただきました)
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世界に一つだけの「~私らしく、に彩りを~」
彩き織PLUSさんHP
