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しまねを楽しみ、ミライへ繋ぐコラム

若女食品株式会社 砂川さん、來栖さん、寺戸さん

100年後のこどもたちへ、しまねの豊かな海の幸を

近年、地球温暖化による海水温の上昇など、気候変動の影響でとれる魚の種類や量、時期が変化していることが問題になっています。

そしていま、世界の海で行われている漁業においては、海産物の1/3がとりすぎ、いわゆる“乱獲”の状況にあることを知っていますか?

そうしたなか、100年後のしまねの子どもたちが美味しい海産物を食べられるよう、「今できること」に奮闘する会社があります。

江津市にある「若女食品(わかめしょくひん)株式会社」です。

創業1907年。島根県で唯一、国際認証MSC「海のエコラベル」取得の商品を持ち、原料に浜田港で水揚げされた「未利用魚(みりようぎょ)」を活用するなど、大切な海洋資源を未来へ繋ぐ取り組みを行っています。

砂川さん、來栖さん、寺戸さん、こんにちは! 若女食品はどのような会社が教えていただけますか?

砂川専務

こんにちは!

当社は、1907年(明治40)に創業した海産物を主原料とした練り製品の製造会社です。

昭和35年に「わかめかまぼこ」の量産に成功し、昭和38年に江津市渡津町に工場を設立しました。

その7年後に社名を若女蒲鉾から「若女食品(わかめしょくひん)」に改め、現在に至ります。

商品は、貝柱風味蒲鉾(かまぼこ)「フライコキール」、カニ風味蒲鉾「オーシャンフレッシュ」をはじめ、おでんの具など、国内はもとより海外へも輸出しています。

「食で世界中を笑顔に」を理念に掲げ、常にチャレンジ精神を大切に時代の変革に対応した商品開発を目指している会社です。

工場がある江津市や、しまねの海の魅力を聞かせてください。

來栖さん

江津には、海と繋がる「江の川(ごうのかわ)」という1級河川が流れています。

川と海の良い性質を兼ね備えているので、釣り好きにはもってこいの海。

また、地域の祭りや大学生のイベント(ピザ窯)などの会場としても親しまれています。

寺戸さん

私は漁港から徒歩10分の漁師町で育ちました。

幼い頃から釣りをしたり、夏は海水浴を楽しんだりしていました。

食卓に家族が釣った季節の魚が並ぶのは当たり前で、海は暮らしを支える大切な存在です。

近年は海水温の上昇による「海の変化」が話題ですが、しまねの海も変化があるのでしょうか。

寺戸さん

私が子どもの頃は「チヌ」とか釣れていたのですが、ここ2、3年は海水温が上昇して魚の生息域が変ったのかまったく釣れず、父は「はずれてばっかりだ…」と嘆いています。

代わりに沖縄で見るようなカラフルな魚が日常的に釣れるようなっていて、それらは食べる習慣がないのでそのまま海に戻すしかない状況です。

釣り人にも魚にもいいことがありません。

來栖さん

海水温の上昇によるウニの大量発生もありますね。

ウニが浅瀬の岩礁域の海藻を食べ尽くしてしまうことを「磯焼(いそや)け」と言います。

そうすると、魚の住処や産卵場所がなくなります。

そのウニは割っても中がスカスカで食用にならないので、地元の漁師さんが魚の生息域や産卵場所を守るために駆除している状況です。

砂川専務

海水温は10年前と比べるとまったく違ってきていて、とれる魚種や時期が変わってしまい、生きものに大きな影響を与えているんです。

海は、表面は温かいけど100メートル下は冷たかったりと変化が激しい。

一般的に、温度が下がるとアジが、上がるとイワシがとれる傾向にあります。

周期はありますが、アジは生息区域が変わったのか2025年の春はとれなかった。

海水温の変化でノドグロが減り、回遊するイカは歴史的な不漁ですっかり高級品になってしまいました。

また、国際的な保護活動によりイルカの数が増えたことも、餌となるイカの減少に繋がっています。

「練り物」を生産している若女食品は使用する魚種が決まっているので、今後は作ることができない商品が出る可能性があります。影響は大きいですね。

噂には聞いていましたが、こんなに大きな影響があるのですね。 このような変化にはどのように対応されていますか?

砂川専務

スーパーの鮮魚コーナーで「海のエコラベル」と呼ばれる「MSC認証」を見たことがありますか?

青い魚が描かれたマークです。

これは、水産資源の枯渇を防いで持続的に水産資源を利用することを目的にした認証で、マークのある商品は「持続可能な漁業でとられた原料を使ったもの」という意味を持っています。

日本ではあまり知られていないのですが、アメリカが中心になって行うメジャーな国際基準で、アジアでは養殖部門でよく取得されています。

海産物は、その年にたくさんとってしまうと、翌年は資源の回復が追いつかない状態になるので、科学的な数値を基にして管理していくんです。

来栖さん

世界でとられている海産物はとられ過ぎていて、減ったぶん当社が扱える原材料が減ります。

AIが普及している現代ですが、やはり人間は食べ物がないと生きていけません。

お寿司もいつかは食べられなくなると言われていたりしますが、100年後もお寿司を食べられたり、事業を継続していくためには水産物をとるところから適正に管理されていることが大切です。

だからこそ、MSC認証を取得して海の生態系に悪影響がない漁法でとられた水産物を使い、事業を継続することは、大切なSDGsだと考えています。

「MSC認証」(海のエコラベル)を取得した商品は島根県で初めてだとうかがいました。 きっかけは何だったのですか?

砂川専務

海外輸出です。実は、海外ではMSC認証がないと怪しい商品とみられ、扱ってもらえないくらい重要視されているんです。

MSC認証の前に、食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC22000」を取得していて、管理項目がほぼ同じだったことから「これはとれるのでは?」という社員の声でチャレンジしました。

※「FSSC22000」…ISO22000を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格。食品の生産から消費までサプライチェーン全体で安全性を保障する仕組み。

また、認証は持続可能な海産物の管理だけではなく、特にアジア諸国に多い漁業の「児童労働」に関わっていないことなども証明します。

若女食品が、危険な海で子どもを働かせているような船と関係を持たないことも大切です。

海外との取引は、何カ国あるのですか?

砂川専務

現在は8カ国です。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、台湾、韓国、タイ、シンガポールですね。

もうすぐ10カ国になります。

製品はおでんの具が多く、その他に50年前から作っている「貝柱風味フライ」を輸出しています。

「貝柱風味フライ」は2025年に大阪で開催された大阪・関西万博のORA外食パビリオン「宴~UTAGE~」内の試食展示会に出展しました。

大阪外食産業協会が主催し、「食べる、笑う、生きる。それは『輝くいのち』そのものだ!」をテーマに、食の魅力を発信するエリアです。

寺戸の発案でソース会社とコラボしたんですよ。

寺戸さん

串に刺した「貝柱風味フライ」を大阪の串カツ風にして、チョコレートタワーならぬソースタワーを作り、ソースフォンデュにしました。

海外の方も含め2000人くらいの方に試食していただき、とても反響が大きかったです。

バイヤーからの問い合わせもあり、海を守る製品で世界を笑顔にしたいと思える経験でした。

浜田港で水揚げされる「未利用魚(みりようぎょ)」も活用されていますよね

砂川専務

未利用魚の「つみれ」の商品が毎年9月から2月までイオンに並びます。

100パーセント未利用魚だけを使ってる製品が並ぶのはイオンだけですね。

その他の当社製品は、普段、地元スーパーの「キヌヤ」で販売しています。

浜田港は鮮魚出荷が多いので、折れたり傷がついたりする魚は買い手がなかったり、消費者が買う魚以外は値段がつかなかったりするんです。

廃棄処分になるのがもったいなくて、毎年未利用魚を「つみれ」にして販売しているんですよ。

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