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しまねを楽しみ、ミライへ繋ぐコラム

株式会社Rustic Craft 戸谷さん

火のある暮らし 人生をあたためる薪エネルギー

薪火は、湯を沸かしたり調理をしたり、寒い季節には暖をとったりと、暮らしになくてはならない特別な存在として大切にされてきました。

また、キャンプや合宿などで炎を囲んだ記憶は、年月を超えて懐かしく蘇り、今も薪ストーブのある暮らしに憧れや魅力を抱く人がたくさんいます。

今回は、島根県で初めて薪ストーブを専門に扱う会社を起業し、「ハートをあたためよう」、「五感をあたためよう」、「地球環境をあたためよう」を会社の理念に、薪ストーブで「人生をあたためる」戸谷淳(とやあつし)さんにお話しを伺いました。

戸谷さんこんにちは!「薪ストーブ」がたくさんありますね。どんな特徴があるのでしょうか?

こんにちは!ここは、ラスティッククラフトショールーム。

国産・海外産の薪ストーブが約20台展示してあります。

灯油ストーブは灯油を焚く。電気ストーブは電気を使う。

薪ストーブは、「薪(まき)」を焚くストーブのことです。

木を焚いて、そのエネルギーを暖房に変える器具ですね。

ファンヒーターやエアコンは暖まった空気を対流させて室内の空気を暖めますが、薪ストーブは、それ自体が熱源となり輻射熱で室内にある物を暖めます。

遠赤外線で内側から温まり、体がポカポカしてきます。

戸谷さんが薪ストーブと出会うきっかけは何だったのですか?

大学生の頃から海外に関心があり、アルバイトをしては海外に行っていたので、卒業後はその流れで海外専門の旅行会社に就職しました。

ヨーロッパやオセアニアへの旅行ツアーの企画を担当していたので、現地へはよく出かけていました。

しばらくして、テレビで観たドラマ『北の国から』の影響もあって、興味のあったログハウスの専門誌に出会い、鳥取県の大山にあるログハウスメーカーに転職。

その仕事の中で薪ストーブに出会いました。

ログハウスの会社から独立して、県内初の薪ストーブ専門店、Rustic Craft(ラスティッククラフト)を設立されたのですね。

22年前、県内ではまだ薪ストーブが広まっていないタイミングでした。

島根県にはまだ専門店がなかったため、メーカーさんからも勧めていただいて比較的スムーズに業界に入れたと思います。

薪ストーブの魅力をどの辺りに感じているのですか?

薪ストーブには、設置するまでにも、設置した後にもストーリーがあるんです。

そこが魅力ですね。

具体的にはどのようなストーリーがあるのでしょうか?

暖房機能だけでなく、中でピザやパンを焼くオーブンの楽しみがあり、天板にシチューやおでんの鍋を置くこともできます。

空気のコントロールで炎の表情がすごく変わるのも楽しいですし、見ていて飽きないですね。

また、火の周りには人が集まります。家族や友人が集まってきて、その中心になり得るものなんです。

キャンプの焚火もそうですよね。

それを家で楽しもうと思えば薪ストーブになる。

暖房としての魅力は50%で、残りの50%、いや60から70%ぐらいかな、その他の楽しみがあるんです。

それぞれのオーナーさんや薪ストーブの数だけストーリーがあり、見えてくるものがたくさんあります。

薪ストーブにはたくさんの魅力があるのですね。戸谷さんに見えてきたものとは?

例えば、環境や自然のこと。

言葉を当てはめるならエネルギーのSDGsでしょうか。

薪ストーブは、利用再生可能エネルギーである森林資源の利活用の象徴的なアイテムなんです。

災害時に電力が来なくなったときに料理ができることや明かりがとれることも重宝しますね。 

また、薪ストーブの火起こし時に利用するオリジナル着火剤「ファイヤーブラウニー」を製造していて、これは福祉施設の就労支援のひとつとして、松江市内の施設とコラボしています。

オリジナル着火剤は、弊社で薪づくりをする際に出るおがくずと福祉施設で回収されている廃ロウを混ぜ合わせ、成形、商品化したもので、売り上げの一部は森林保全活動へ寄付されます。

キャンプや焚き火でも使いたい着火剤ですね!環境面といえば、薪を焚くことで出るCO₂が気になります

もちろん木を燃やすと二酸化炭素が出ます。

でもその二酸化炭素は、もともと大気中にあったものを木が光合成により吸収し、成長に使い蓄えていたものなので、木を燃やすことで再び大気に出しても「新たに増やした」ものではないんです。

この考え方を「カーボンニュートラル」といいます。

普段私たちが使う石油(化石燃料)は、地下から汲み上げたものなので使い続けると二酸化炭素の量が増える一方です。 

しかも、化石燃料は地球に生命が生まれた時から堆積する動植物の死骸などが長い歳月をかけて変化したもの。

その石油をもう一度作り出すには、同じく果てしない時間が必用です。

比べて、木は回復のサイクルが30年ほどと短いところがいいですね。

そのような話を、地元の小学校や高校に出向いて話したり、ワークショップを開いたりしています。

なるほど「循環」ですね。薪にする木はどこから調達するのですか?

薪は、地元の大谷地区をはじめ、雲南市~飯南町にかけての奥出雲方面から調達しています。

燃料の考え方として、遠くからガソリンを使って運んでくるのはちょっと違うかなと。

私の曽祖父もきこりだったのですが、昔は炭窯(すみがま)があちこちにあって、木を切る職業の人もたくさんいたそうです。

島根県にはたたらの文化があるので森に広葉樹が多い。製鉄に必用な炭をたくさん作っていましたから。

昔はここで炭を焼いたら次の場所に移り、そこの木がなくなったらまた次の場所へと複数の森を巡っていました。 

広葉樹の多くは切り株から自力で芽をのばして木に成長するので、30年周期ぐらいでまた炭窯を回していたとか。

それで森もきれいに保てるわけです。

薪にする木を切ることで、森林の保全と資源活用にも一役かっているわけですね。

針葉樹は建築材として使える可能性があるけど、薪にむいた広葉樹は使い道が限られていて収益になりません。

そういうブナとかナラ、カシ、アベマキの木などを薪に使うことは、再び価値をつけることにもなります。

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